枕の素材は、寝心地を左右する重要な要素。
素材によって、硬め、柔らかめ、フィット感、香りのするもの、通気性の良いものなどがあり、それらは寝心地にも大きく影響を与えます。
ここでは枕の素材別に、どのような特徴があるのか紹介していきます。
素材ごとの硬さ・柔らかさ・通気性の比較図
※実際の使用感は、ご使用になられる方により異なりますので、お選びいただく際の参考の目安としてください。
寝心地が柔らかめの素材
「ポリエステルわた」 ふわふわ柔らかな綿素材
特徴
わた状の人工繊維。クッション性があり、枕やクッションの定番素材です。ふんわりとした感覚で、柔らかめの枕が好みの方におすすめです。
また、同じポリエステルわたの中にも、「コンフォロフトわた」「粒わた」といった素材もあります。
※コンフォロフトわた
ポリエステルわたの中でも、最も上質な特殊加工された素材。従来のポリエステル素材より、通気性・クッション性に優れており、綿ぼこりも出にくいです。
※粒わた
ポリエステルわたを粒状に加工した素材。従来のポリエステル素材より反発性が少なく、ふんわり柔らかいのが特徴です。
メリット・良いところ
ふわふわと柔らかく、ボリューム感もあります。
またクッション性に優れ、軽量・安価な素材として重宝されています。
デメリット・悪いところ
使用しているうちに、弾力性が失われ、ボリューム感がなくなってきます。
またホコリなども溜まりやすい素材です。
洗濯・メンテナンス方法
水洗いできるものとできないものがあります。
水洗いできるものは、1ヶ月に1回程度お洗濯しましょう。干す際は、軽く枕を叩いてホコリを落とすか、または掃除機でホコリを吸い取ります。天日干し。(直射日光OK)
寿命・買い替えの目安
寿命1年~3年程度。買い替えの目安はヘタってきた時です。 使用していくにつれ、弾力性・ボリューム感がなくなってしまいます。ボリューム感がなくなることにより、枕の高さが低くなってきてしまいます。 また、ホコリを溜め込みやすいため、水洗いできないタイプのポリエステルわたであれば、寿命より早めの交換が理想です。
価格の目安
800円~5,000円
綿のような素材。主にクッションなどに使われていることが多いようです。
ただ高級なものになると丸洗いできるものや菌がたまりづらいモノなどアイデア商品が増えてきています。
「羽根・フェザー」 鳥などの羽根を使った素材
特徴
羽根素材は、水鳥の羽根を採取して、洗浄・消臭を施した天然素材です。独特のふんわり感、高級感があります。ふんわり柔らかい寝心地です。
メリット・良いところ
通気性も良く、吸湿・保温・発散性に優れているので、冬は温かく、夏は涼しいという天然素材ならではの利点があります。
ふんわり柔らかな独特な寝心地で人気です。
デメリット・悪いところ
安価なものは、羽根素材独特の臭いがあるものもあります。また、羽根に骨があるため、枕の中から素材がでてきてしまったりすることがあります。お子様のご使用はオススメしません。
洗濯・メンテナンス方法
水洗い不可。 普段は風通しのよいところで陰干しをしてください。
干す際は、軽く枕を叩いてホコリを落とすか、または掃除機でホコリを吸い取ります。
寿命・買い替えの目安
寿命は1年~3年程度。買い替えの目安は、羽根が出てきてしまった時です。使用してしていくにつれ、弾力性・ボリューム感がなくなってしまいます。ボリューム感がなくなることにより、枕の高さが低くなってきてしまいます。また、羽根には骨があるため、羽根が枕の袋から突き抜けてしまうことがあるので注意が必要です。
価格の目安
2,000円~15,000円
羽根枕の場合、羽根の「骨」が付いているものが比較的安く売られています。
ホームセンター等では、中国産のもので1,000円を切って販売されているものも。高級なものは骨が抜いてあったり、構造に工夫が施されています。
「発砲ビーズ」 1mm程度の小さなビーズ素材
特徴
超極小の発砲ビーズ素材。発泡スチロールを小さく粒にしたような素材です。独特の触り心地で、クッションや癒し系グッズでも幅広く使われています。
メリット・良いところ
なんといっても独特の触り心地。ビーズが不思議な感触を生み出します。また、超極小なため流動性があり、柔軟に変形します。
デメリット・悪いところ
一部改良されたものもありますが、熱がこもりやすい素材です。流動性があることにより、安定感がないと感じる方もいます。
洗濯・メンテナンス方法
水洗いはできません。ただし、一部商品では水洗いが可能です。普段は風通しのよいところで陰干しをしてください。
寿命・買い替えの目安
寿命は1年~5年程度。買い替えの目安は、ビーズを覆っている生地が伸びて形を形成できなくなった時、また、ビーズがつぶれた時などです。ビーズ自体の寿命より、それを保護するカバーや生地の寿命が早く来てしまう場合が多くあります。柔軟性・流動性に優れた素材であるため、生地への負担が増えるからです。ビーズ自体は、寿命が来たからといって、使い心地が悪くなるということはありません。
価格の目安
3,000~12,000円
「クラッシュラテックス」 弾力性のある高反発性素材
特徴
クラッシュラテックスは、弾力性と高反発性を兼ね備えたナチュラルラテックス素材と、シンセティックラバー(合成ゴム)を粉砕した素材で、その素材を握ると、ギュッと小さくまとまり、そしてゆっくりと元の大きさに復元するユニークな素材です。
メリット・良いところ
弾力性と高反発性のあるナチュラルラテックス素材を円柱状に細かく粉砕することにより、しっかりと首もとを支える弾力性を保ちながら、ふんわり柔らかな感触を実現しています。独特のフィット感があります。
デメリット・悪いところ
粉砕加工をしているため、素材1つ1つの形状が不規則になったり、また一部不純物が混入しています。 購入当初は、ラテックス特有のゴムのような臭いがあります。 臭いに敏感な方はご使用を避けて下さい。長年使用するにつれ、素材のボリューム感が失われて、ヘタってきます。
洗濯・メンテナンス方法
水洗い不可。 普段は風通しのよいところで陰干しをしてください。素材が片寄った場合、優しくほぐしながら、全体に広げてください。
寿命・買い替えの目安
寿命は2年~3年程度。買い替えの目安は、ヘタってきた時です。 長年使用するにつれ、素材のボリューム感が失われて、ヘタってきます。ボリューム感がなくなってきたら買い換え時期です。
価格の目安
3,000円~10,000円
「低反発ウレタン」 ゆっくり沈み、ゆっくり戻る素材
特徴
まるでマシュマロのようなスポンジ状の素材。ゆっくり沈み、ゆっくり戻る、独特の触り心地が人気です。元々は、NASAのスペースシャトルの宇宙飛行士のために開発されました。
メリット・良いところ
柔軟性に優れており、利用する方の体型や寝姿勢に合わせて形状を変えるので、フィット感があります。また体圧分散効果もあり、負担を軽減させます。
デメリット・悪いところ
寒くなると硬くなる特性があります。逆に夏などは熱がこもりやすく、ムレやすいという難点があります。また水洗い出来ないものがほとんどの為、清潔に保つのが難しい素材です。最近ではこれらを改良した素材も登場しています。
洗濯・メンテナンス方法
水洗い不可。普段は風通しのよいところで陰干しをしてください。低反発ウレタンは、小さな気泡が連続している特殊な構造をしています。そのため空気の出し入れをすること、つまり枕を利用することにより、空気の出し入れが行われ、清潔に保つことができます。なお、低反発素材は、水洗いはできません。水にぬれた場合は、水が潤滑油の働きをするため、低反発ウレタンフォームの戻りが速くなります。また湿った状態の場合、強度が低下し、素材が破れやすくなりますのでご注意ください。
寿命・買い替えの目安
寿命は6ヶ月~3年程度。買い替えの目安は、復元性がなくなり元の形に戻らなくなった時、また、汚れた時、ウレタンが黒くなった時などです。 利用するにつれ、低反発ウレタンの特性であるモチモチ感がなくなり、反発性・柔軟性も徐々に失われます。このことにより本来の体圧分散効果などが失われてしまうことがあります。また特性上、素材の色が少しずつ黄色く変色しますが、寿命とは関係がありません。モチモチ感がなくなったり、形が崩れてしまったりしたら買い換え時期です。
価格の目安
2,000円~15,000円 値段の差が比較的大きい素材の一つです。
平均的に1万円前後の価格帯で、品質にもバラツキがあります。
安く売られているウレタンは軽く、寒い時期になると硬くなりますが、高価なものはウレタンの目が細かくて重量があり、比較的硬くなりづらいです。
「スノー低反発」 ウレタンを細かく粉砕した素材
特徴
スノー低反発素材は、ウレタンを細かく粉砕した素材です。まるで雪のようなスノー低反発は、その素材を握ると、ギュッと小さくまとまり、そしてゆっくりと元の大きさに復元するユニークな素材です。
メリット・良いところ
ウレタン素材の特徴であるモチモチ感を出しながら、羽根枕のようなふんわり包み込まれるようなフィット感を実現しました。低反発素材に比べて、通気性もあります。
デメリット・悪いところ
素材がかたよってしまったり、くっついてしまい、スノーのようなサラサラ感が徐々に失われます。寒いと硬くなってしまう素材です。素材の名前のイメージほど柔らかくはありません。また、初期はウレタン素材独特の臭いがします。
洗濯・メンテナンス方法
水洗い不可。 普段は風通しのよいところで陰干しをしてください。
寿命・買い替えの目安
寿命は2年~3年程度。買い替えの目安は、ヘタってきた時です。長年使用するにつれ、素材のボリューム感が失われて、ヘタってきます。ボリューム感がなくなってきたら買い換え時期です。
価格の目安
3,000~10,000円
寝心地が硬めの素材
「そばがら」 蕎麦の殻を使った素材
特徴
そばがらは、そばの実の殻を乾燥させた素材で、日本で古くから枕の素材として愛用されています。ズッシリと重量感があり、硬めの枕素材として分類されます。
メリット・良いところ
通気性や吸湿性に優れ、寝ている間の余分な熱を外に逃がし、汗などの余分な水分を吸収してくれます。また、価格も比較的安価でボリューム感もあります。根強い人気があり、定番の素材です。
デメリット・悪いところ
使用しているうちに、そばがらがつぶれて粉が出ることがあります。また天然のそばがら素材の場合は、夏場、天日干しをせずに湿気の高いところで長時間保管すると、虫がわくことがあります。アレルギー、ぜん息の方にはおすすめできません。
洗濯・メンテナンス方法
水洗い不可。天日干し。(直射日光OK) 水洗いができませんので、できるだけ毎日、天日干しをしましょう。ムシが付きやすい素材ですが、天日干しをすることにより撃退できます。干す際は、枕を叩かないでください。叩くとそばがらが割れて粉が出てきてしまいます。
寿命・買い替えの目安
寿命は6ヶ月~1年程度。買い替えの目安は、そばの粉が出てきてしまった時です。 使用するにつれ、そば殻が割れ、そばの粉が出てきます。そばの粉がでるとムシが付きやすくなるだけでなく、鼻炎やぜんそくの原因になることがあります。
価格の目安
500~6,000円
そばがら枕にもいろいろな種類があり、比較的高価なものは、抗菌・殺菌処理など加工がされていることが多いです。
「パイプ」 ストロー状のパイプ素材
特徴
ストローを細かく切ったような形状の素材です。大きさや硬さなどたくさんの種類があるのも特徴です。
メリット・良いところ
通気性が抜群で、虫の心配もなく耐久性にも優れ、水洗いもできる為、いつでも清潔です。また、素材の寿命も長く、ヘタれづらい素材です。
デメリット・悪いところ
大きくて硬めのパイプはごつごつした感じがあります。寝返り時にザワザワとした音がすることがあります。柔らかめの枕がお好みの方にはオススメできません。また、重いです。
洗濯・メンテナンス方法
水洗い可。天日干し(直射日光OK)。水洗いが可能な素材なので、できるだけ頻繁に水洗いをしましょう。素材自体の耐久性も強いので安心です。
寿命・買い替えの目安
寿命は3年~5年程度。買い替えの目安は、パイプを覆っている生地が切れてしまった時、パイプがつぶれた時などです。パイプ素材の寿命は非常に長く、水洗いもできるため、長く清潔に使えます。使用しているうちにパイプがつぶれボリューム感がなくなってきたら買い換え時期です。
価格の目安
1,000~5,000円
パイプにトルマリンや炭などを配合した素材や、パイプ素材×その他の素材などでユニット構造になっている枕は、比較的高価になります。
「コルマ・ミニボール」 直径1cm程度のボール状の素材
特徴
コルマ素材は、中が空洞になった直径1cm程度のプラスチックボールに、2つの大きな穴が空いた形状の素材です。
メリット・良いところ
中が空洞で穴が空いているので、空気の通りがよく通気性に優れています。また素材の一つ一つが球状になっているので、比較的柔軟性・クッション性があり、素材の流動性もあります。
デメリット・悪いところ
素材がゴロゴロと動く音が出てしまいます。サイズや形状によっては底づき感があります。価格は比較的高めです。
洗濯・メンテナンス方法
水洗い可。天日干し。(直射日光OK) 水洗いが可能な素材なので、できるだけ頻繁に水洗いをしましょう。素材自体の耐久性も強いので安心です。
寿命・買い替えの目安
寿命は3年~5年程度。買い替えの目安は、素材の丸い形がつぶれた時です。 球状のため、クッション性に優れていますが、復元力がなくなり、徐々に丸いカタチが保てなくなります。1つ1つの球のカタチが崩れ、ボリューム感がなくなってきたら買い換え時期です。
価格の目安
2,000~5,000円
「ひのき・天然素材」 檜や木くずなどの天然素材
特徴
主に天然ひのきを素材にしたものです。1cmほどのサイコロ状や、カール状に巻いたものもあります。
メリット・良いところ
ひのきの香りにはリラックス・リフレッシュ効果があり、心を落ち着けることで眠りをサポートしてくれます。また天然ひのきには防虫・防湿作用もあります。
デメリット・悪いところ
天然ひのきの香りは持続性がなく、1ヶ月程度で香りは抜けてしまいます。また、比較的価格は高めです。
洗濯・メンテナンス方法
水洗い不可。普段は風通しのよいところで陰干しをしてください。
寿命・買い替えの目安
寿命は1年~3年程度。ひのき自体の寿命は長く丈夫ですが、香りが抜けてしまうため、香りを感じたい方は定期的に買い換える必要があります。
価格の目安
5,000~10,000円